Paisley Poodle Records

音楽制作系の雑記・備忘録 etc...

弁えるということ。

久しぶりの投稿になります。前回の投稿のときとは世界の有り様が変わってしまったように感じます。皆様も少なからず何か日頃の考え方の根底が揺らいでしまっていたりしているかもしれません。今のこの現代には本当に安定しているものなどないのかもしれません。

僕自身も寒い間に体調を崩してしまい、低空飛行の生活というのか、なかなかに質の低い、実りのない日々を送っておりました。

体調を崩した原因は顎関節を傷めてしまったところにある気がしています。前回のリリースからしばらく時間が経っているし、いまはこの「文章」というものでしか自分の状況を言い表せる手段が思い浮かびませんので少し書いてみようと思った次第です。

 

前回のリリース曲である「最後の砦」

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は、リリースする大分前から曲はできていて、歌詞も苦慮を強いられたものの完成はしていたのです。しかしそれを自分が納得のいくように歌うことができずにずっと燻っていました。僕は何か特定の楽器演奏に長けているわけでもないし、歌唱に関しても同じです。これまで様々な形で曲を作ったり、うまくいけばリリースしたりしてきましたがいずれもそのときの自分ができる限界点、逆に言えば最低限これくらいできていれば…というような妥協点を目処にして作品を完成、とみなしてきました。

 

その閾値を超えられないのが僕自身の歌唱力だったわけです。その事実に直面して考えたのは「急がば回れ」ということで、早速僕は自分の現在の歌唱力を踏まえて本格的にヴォイストレーニングを始めたのです。といっても例によって例のごとく独学で、ですが。

 

まず、信頼できそうな情報を発信しているボイトレ系のYouTuberを漁り、早速毎日やることを推奨しているメニューをこなしていきました。その結果、なのかは不明ですがなんとか件の曲を録り終えることができました。そして無事リリース。しかし、何か引っかかる。いまいち実感が伴わないというか。(ヴォイスorヴォーカルトレーニングというものは往々にしてそういった類のもの様で…)なので僕はリリースを終えてからもずっと毎日のメニューに取り組んでいたのです。

 

そんな中観てしまったDisney+で配信されたThe BeatlesのGet Backでのルーフトップのシークエンス。I've Got A FeelingのPaulのあの獣の咆哮の如きシャウト。僕は改めて衝撃を受けた直後に、外国人とはいえ何故こんなにも自分と違うのかとやりきれない気分がこみ上げてきました。そりゃ僕だって知ってはいます。ざっくりといえばハンブルグでの下積みから、そこまでのキャリアを。僕はちょっとした癇癪持ち体質なので頭ではわかってはいても、必死こいて理想を追い求めて毎日頑張っているが、実感も不透明なままに過ぎていく毎日を送る自分に感情的になってしまい、彼のそれを自棄になって力任せに真似てみたのです。

 

その結果、顎関節に「ミキッ」と嫌な音がして、そこから数週間ひどい頭痛に苛まれることになってしまいました。気持ちの上でもなんだか僕は自分がとても情けなくて、惨めになって先述した「実りのない日々」を送ることになったわけでした。振り出しに戻る、とまではいかないものの何コマも戻る羽目になったようで。

 

弁える、なんてことは日本人が美徳として大切にし過ぎているせいでいまやそれは暴徒のようになってあらゆる場所で暴れまわっているように見えてあまり好きではないのですが、ときには冷静に暴徒と化す前の本来の意味を考えて柔軟に自分の中に取り入れるべきだと思いました。ふと気づけば僕はもう若者とはいえない年齢に差し掛かっているので何かの機会があるならばそこから学べることを、そのときの自分にできる限り最大限学んでいかなければならないと心がけて日々を過ごしていきたいです。