Paisley Poodle Records

音楽制作系の雑記・備忘録 etc...

小さな町の小さな事件。

 昨日は野暮用で少し距離のあるイオンへ最近自分の中で流行っているミニクルーザーで行った。そうしたら少し待ち時間が出たので一度、外に出て役所へ行こうと思ったらおじいさんが倒れているところに出くわしてしまった。そのおじいさんを囲むおばさま方の人だかり。向いには幸いなことに交番があった。僕はすぐに交番へ行ったが出払っているようだった。あえなく蜻蛉返りしたらば現場の近くのお店のスタッフが警察と救急車を呼んでくれたようだった。
 おじいさんは買い物の帰り道で転んでしまったようでしばらく横たわって立ち上がれなかったが、僕が戻った頃には地べたにではあったが座っていた。足首と指先から少しの出血。片耳には補聴器のようなものが付いていた。おじいさんはしきりに大丈夫、大丈夫と周りの人間に伝えたが、僕が背中を支えていないと後ろに転んでしまいそうな程力が入っていなかった。足首と指先の怪我におばさま方の誰かが絆創膏貼った。おじいさんは何度も何度も自分の力で立ち上がろうとしていたが、それはかなり難しそうな様子だったので僕たちはそれを制し、なだめながら警察と救急車が来るのを待っていた。
 おじいさんはきっと事態を大きくすることが嫌だったのだと思う。家で一人で妻が待っているとも言っていた。
 僕はそれを目の当たりにして、遠くない未来の自分を想像してしまった。いつかの自分の姿なのかもしれないと、何とも言えない気持ちになった。おじいさんの手押し車にはペットボトルのお茶の箱、その横に倒れている年季の入った杖。
 結局そのおじいさんは駆けつけた警察と救急隊の判断で運ばれていった。今回は大通りに面する大きな歩道であったため事なきを得たが、それが人通りの少ない、暗い夜道だったらと思うと少し怖くなる。
 周りには大丈夫だと言い張りながらも自分だけの力で立ち上がる事はできない。老いとはそういうものなのか。ーーー

 たとえこのコロナウィルスパンデミックの影響下においても人々にはまだそうして困っている人をソーシャルディスタンスを例外的に度外視できる柔軟さと、助けようとする力はある。
 あの瞬間に悲観を見るも、希望を見いだすも個人次第。この険しいフィールドでのヒューマンレースの最中、今のところ僕はそういう人間の力を信じたい。

 時間的に役所に行く事は断念しイオンで目的を果たした帰り道に、警察が残っていた。僕はそのときミニクルーザーで滑りながらすれ違うところだった。そこに警察が話しかけてきた。
警察官A「先程はありがとうございました。無事救急車で運ばれていきました。」
警察官B「でもここでスケボーはだめだど?」

 スケートボードは車、人通りの頻繁な場所では禁止されています。ルールを守って楽しみましょう。